セミナー1-3


セミナー1-3

(開講日9月7日(金)
電磁解析の基礎とその活かし方

【講師】 結石 友宏 氏

 受講対象:
・ 電磁気学の基礎から理解して、電気機器、システムの設計・開発に磁界解析を活用したい技術者の方。
・ 電気系以外の方でも、電磁気学と磁界解析についての理解を深め、電気系技術者と円滑な協業を目指す技術者の方。

 セミナーの概要
 私たちの生活や工場での生産などに電気は深く浸透していて、なくてはならないものになっています。電力会社の発電所、送電線、変電所、配電線を通って電気は家庭や工場に送られてきます。最近では、ハイブリッド自動車(HV)や電気自動車(EV)が実用化され、自動車でも電気が身近に使われています。
 電気の分野では電界解析、磁界解析、電磁界解析が使われています。電界解析は高電圧が加わる装置の電気絶縁の設計などに使われます。磁界解析は磁界を用いる電気機器の設計に使われます。また、電磁界解析は空間を電磁波として伝わる問題の設計や高周波信号が伝わる回路の設計などに使われます。今回の講義では、3つの解析のなかの磁界解析を取り上げて説明します。
最初に、磁界解析を行う上で必要な電磁気学の法則を分かりやすく、イメージを理解していただけるように説明します。磁界は大きさと方向をもつベクトル量なので、電磁気学の法則は勾配、発散、回転というベクトル解析を使って微分形式の数式で表されます。また、ベクトルの線積分や面積分を使って積分形式の数式でも表されます。これらの数式をいきなり理解するのは難しいと思いますので、数式を使わずに電磁気学の法則を説明して理解していただきます。
 次に、CAE(Computer Aided Engineering)分野で広く使われている磁界解析の基礎と活用法について説明し、製品設計や研究開発に役立つ知識を習得していだだきます。活用例として、磁界解析が使われている分野をほぼ網羅して取り上げます。
最後に、磁界解析のフリーソフトについて紹介しますので、パソコンレベルで簡単な磁界解析を行っていただくことも可能になります。

 受講に当たっての必要な予備知識の有無およびその概要:
 高校で習う数学、物理の知識(それ以上の知識はこの講義で説明します。)

 プログラム

1.はじめに
2.磁界に関する電磁気学
 (1)電流の作る磁界(アンペールの周回積分定理、ビオサバールの法則)
    直線電流、円形電流、ソレノイド
 (2)電流が磁界から受ける力(ローレンツ力)
    直線電流、平行電流
 (3)電磁誘導(ファラデーの電磁誘導の法則)
    磁界中に出入りするコイル、磁界を横切る導線、コイルの回転と交流の発生、
    自己誘導・相互誘導、変圧器、モータ、発電機、渦電流、表皮効果、近接効果
 (4)磁気回路
    透磁率、磁気回路に関するオームの法則
3.磁界解析の基礎
 (1)モデル化の考え方
  a.基礎方程式
  b.渦電流なし、渦電流あり
  c.静解析、周波数解析、過渡解析
 (2)モデル作成(メッシュ分割)
 (3)材料物性値
  a.透磁率(線形材料、非線形材料)
b.導電率
 (4)境界条件
  a.磁束が境界と平行(ディリクレ型)
b.磁束が境界と直交(ノイマン型)
 (3)負荷条件
  a.電流(電流密度)
b.永久磁石(磁化)
 (4)磁界解析
 (5)ポスト処理
  a.磁力線
  b.等高線(磁束密度、渦電流密度)
4.磁界解析の実施例
 (1)磁界計算(電力ケーブル周辺の磁界)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (2)磁気シールド(電流の作る磁界を抑えるには)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (3)電流センサー(磁気回路の最適化)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (4)変圧器(磁気回路、自己誘導、相互誘導、鉄損)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (5)モータ(磁気回路、電磁力、トルク、鉄損)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (6)導体の交流抵抗(表皮効果、近接効果)
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
 (7)誘導加熱
    モデル作成、材料物性値、境界条件、負荷条件、ポスト処理
5.磁界解析ソフト(フリーソフト)の紹介
 (1)電界・磁界解析ソフトPoisson/ Superfish
  a.機能
  b.入手方法
  c.磁界解析例
 (2)磁界解析ソフトFEMM(Finte Element Method Magnetics)
  a.機能
  b.入手方法
  c.磁界解析例
6.まとめ

◆ 講師プロフィール
 □ 講師略歴: 
   1975年3月:岡山大学 工学部 電気工学科 卒業
   1975年 住友電気工業(株)入社
    CVケーブルの電気絶縁・布設工法、超電導マグネットの研究開発に従事。
     現在、CAE(Computer Aided Engineering)の研究開発に従事
   1986年〜1989年: (株)ソルテック出向 リソグラフィ用小型SORリングの研究に従事
   1991年〜1994年: (株)自由電子レーザ研究所出向 アンジュレータの研究開発に従事
   1994年3月:岡山大学 大学院 自然科学研究科(博士後期課程)終了
   2011年1月〜:特定非営利活動法人(NPO法人) 関西技術経営コンサルタンツでコンサル活動中
   2013年2月 住友電気工業(株)定年退職、嘱託として継続勤務
   2018年2月 住友電気工業(株)嘱託(契約社員)期間満了に伴い退職

  □ 専 門:
   CAE(Computer Aided Engineering)、電磁界解析

  □  所属学会:一般社団法人電気学会

  □ 学位と資格:博士(工学)、技術士(電気電子部門)

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